OUR CHEF

name

Riku Yakushijin

薬師神 陸

title

CULINARY PRODUCER

unis / Chef
Social Kitchen / Director

Riku Yakushijin

CAREER

2008年辻調理師専門学校を卒業。同校フランス料理講師としてスタートし、教育指導・テレビ料理監修・雑誌制作などにも携わる。その後、2014年予約困難なレストラン『SUGALABO』の立上げからシェフとして国内外を飛び回り日本の素晴らしい食に纏わるコンテンツをシェアするため料理を振る舞う。 2020年12月より虎ノ門ヒルズ【unis】シェフ、2021年1月より【Social Kitchen TORANOMON】ディレクターとして活動。 日本で唯一のカリナリープロデューサーという肩書きで“食のリテラシーを磨く“をコンセプトに、新しい料理人の在り方や、企業・社会とのレシピ・商品開発にも意欲的に取り組み新たな食体験の提案を続ける。

STORY

必然と始まる料理人のスタート

僕の生い立ちは、小さい時に父を亡くし、母は夜遅くまで働いていたので、祖父と過ごすようになりました。祖父は料理が好きで料理人を目指していましたが、家業が宮大工をしていることもあり、物づくりという部分で食べたら消えてしまう料理ではなく、残していける大工の仕事をしたいとの思いで宮大工を続けたみたいです。ですが祖父は心残りがあったのか、料理をよく教えてくれました。そのような経験から、周りが消防士やサッカー選手になりたい!という夢を持っていた時から僕はコックさんになりたい!と言ってましたね。

僕は、中学を出て早く現場に出たかったんです。その時高校に行くことは考えていなかったので、中学在学中に調理師専門学校のオープンキャンパスに行きました。その時に、高校は行った方がいい。と講師の方に言われ、当時中卒課程の学科もあるが、中卒の料理人自体のステータスも高くないとのこと。料理人になった後のことを見据えて高校は商学系の高校に進学し、簿記やパソコンのことを学び、その後辻調理師専門学校に進学しました。それまでの調理師学校は1年間学び、すぐ現場に出ていくという流れでしたが、僕が入学するタイミングで2年制の学科が生まれ、僕は1期生として学び始めます。

2年目になり、ふと気づいたことがあって。学校の先生ってカッコよくて憧れていたのですが、今まで2年制の生徒が居なかった事もあり、生徒からの踏み込んだ質問に対して辿々しさを感じ、その状況を見て、僕が先生になろうと決めました。

そこから勉強をして、講師となります。講師の中でも僕は最年少だったので大変なこともありましたが5年勤務させていただきました。その時にTV関係の仕事や人前で講義したり、教科書を作ったり、今につながる最初の修行をしていましたね。講師は人に見られる仕事なので、所作や話し方、どうしたら伝わるかなどを考えられたのは、貴重な経験でした。

ただ、講師のままだとチャレンジする場所が少ないとも感じていました。自分のクリエイションスキル、センスなどの付加価値を活かしてどう生き残れるかという部分でも、現場に出なくてはという気持ちが生まれます。

当時のFacebookは活動履歴のようなものだったので、当然講師を辞めることも投稿していました。実際にFacebookを通して須賀シェフからお声がけがあり、後に「SUGALABO」を作ります。須賀シェフと一緒に二人三脚でお店をゼロから作ることであったり、海外や地方を回って生産者を始め沢山の人と繋がり、外部のクライアントとのやりとり、イベント運営、料理監修など沢山のことを経験した中で、それらをオーガナイズする能力も講師時代の延長線上で発揮できたのかなと思っています。

自分で価値作りをする須賀シェフの元で働いたことで、僕も新たなチャレンジをしたいと思いました。

週3日休みのレストラン

「unis」は結構異例なお店だと思っています。お任せコース1つで勝負しているところは多いのですが、週3休みのところはあまりありません。レストランワークってルーティンになるので、ルーティン部分をできるだけ少なくし、残りの時間をインプットに充てる。インプットの時間だけを見てしまうとお金にならないが、自己研鑽は大切なことです。自己研鑽がアウトプットできる座組みがあれば、それがクリエイティブに繋がります。僕の場合は、オフの時にしかできない開発や、講義、イベント企画をしたり。あるいは黒子になって他シェフのサポートをしたりするのですが、それって全部インプットで自分の経験値を増やす時間に繋がります。

この時間軸の考え方を大切に伝えていけば、それぞれの時間の使い方の思考が変わり、成長スピードが上がるのではないかと思うのでこれからも続けていきます。

シェフ主体で価値作りをしたい

前職のSUGALABOはLABOという名前がついているように、ゼロから開発することもしていました。そういう活動をしていく中で、自分だったらどういう価値作りができるのかと考えるようになりました。加えてシェフ主体の場を作りたいと思いました。

そして、Social Kitchenの立ち上げを始めます。これからの食の発展を加速させるコンテンツはシェフコミュニティーだ!という感じでやっていましたが、一番準備に時間が掛かったのがSocial Kitchenでしたね。今なお沢山模索し、改善していますが、様々な案件で外部のシェフをまとめ、unisとSocial Kitchenを並行して活動しております。

現代のシェフの在り方とは

今までお店に来なければ伝えることができなかった部分を、現代は違う形で魅せることが出来ます。美味しいものをただ作るのではなく、各個人が発信し続けることも必要な時代になりましたね。自分のクリエイションを世の中に出せるツールを増やし、何が今一番ベストなのか体現している最中です。そのツールをシェフ達が使えるように教育もしていかなければならないし、運用しやすい座組みや時間軸を変えたりなど挑戦していきたいです。

僕自身としても、シェフだけで留まるというわけではないので、その上も目指していきます。