OUR CHEF

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Kazuya Iguchi

井口 和哉

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CHEF

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Kazuya Iguchi

CAREER

1988年生まれ。大阪の調理師専門学校卒業。タテルヨシノ銀座、ル・コントワール・ド・ブノワ、ミッシェル・ブラストーヤジャポンで修行を積む。その後、ビストラン エレネスクのシェフとなる。日本最大級の料理人コンペティションRED U-35 で2016、2017年でシルバーエッグを獲得。2019年にコスメブランドTHREEが運営する野菜がご褒美となる料理を展開するREVIVE KITCHEN AOYAMAのシェフに就任。今後も野菜を中心としたクリエイションを届けていく。

STORY

スポーツや勉強で褒められるよりも、料理を褒められることの方が嬉しかった

小学校3、4年の時に料理人になりたいと思ったことが最初のきっかけです。僕は、兵庫の田舎で生まれ育って、料理というより山菜を摘んだり、川で魚をとったりすることで食に触れることが多かったように感じます。あとは、両親が共働きだったので、自分で料理を作るのが楽しかったです。僕は、スポーツも勉強も得意な方で褒められていましたが、ご飯作って喜んで貰ったり、褒められる方が嬉しかったので料理人が自分に向いているのかなと思っていました。

自分から学ぶことの大切さ

それぞれの店舗で課題はありました。今と違って、誰も教えてくれない環境でやってみろと言われ、出来なければ二度とチャンスは来ない厳しい環境でしたね。今でもその方法が絶対的な正解とは思いませんが、そういう修行時代を過ごせて良かったと思っています。なぜなら、今みたいに何でも検索して出てくる時代ではなかったので、分からないことを知るために沢山調べて、それが知識となり、自分にしか出来ないクリエイションが形成されていったように感じているからです。また、修行期間も大事ですが、早くからビジネスのことを知っておくことは大事だと思いましたね。早く知識がついていれば、お店の始め方やその後を考えることができたので、知るきっかけや環境があれば受けたいと思っている人は沢山居ると思います。あと、モチベーションが高い人は休日に時間を作って技術を学びたいと来店する人もいましたね。若い頃はスキル磨きに必死になるので、料理以外のことを勉強する必要があるという思考に辿り着いてない人も居るように感じます。シェフになる前と後では求められる能力が全然違うのですが、僕も若い頃はそれに気づけていなかったと思います。若い頃にこれらを学ぶきっかけがあれば、考え方も当時から変わってたかなと感じますね。

料理以外もこだわる、自分らしいクリエイション

皆と同じことをするのではなく、自分らしいクリエイションを世界に出していきたいと考えるようになっていきます。周りが一通りクラシックなこと・イノベーティブなことを行っていた中で、僕は、北海道で修行した経験から野菜だけのレストランがやりたいと思いました。新しいことに挑戦したい!と思っていた矢先、Social Kitchenがチャレンジを支えてくれることに。通常であれば、お店を出すこと、出した後もハードルが高いです。しかし、Social Kitchenがサポートしてくれることでクリエイションに集中することができ、手が伸ばしやすい状態となり、チャレンジすることが出来ました。

僕は元々、新しいクリエイションのために野菜を使いたくて。ヴィーガンやベジタリアンがなぜその食生活を続けているのかは、あまり理解していませんでした。しかし、そんな人たちと繋がる機会が増え、地球や動物のことを考えている人たちが多いことが印象的でした。お肉という美味しいものを辞めてまで、地球のことを考えている人たちは純粋に凄いと思います。僕は肉も魚も食べるし、フレンチのお店にいた自分が活動をしているからとお店に来てくれる人も沢山居たので、そういった機会に触れて頂ける人が居ることが嬉しかったですね。

お店を出して気づいたのは、お客様と繋がることの大切さです。それまでは厨房に籠り料理を綺麗に作る、早く仕込むといった技術面にしか興味がなかったのですが、オープンキッチンだということもあり、実際にお客様の反応を見たことで意識が変わりました。

ただ僕はこだわりが強く、考えを変えるのに苦労しましたね。自分の思う最高とお客さんの思う最高にズレがあったので。自分を無理矢理納得させたというよりは、料理を出すときに伝えることや、食材、お皿、BGMにこだわることでお客さんを満足させる自信をつけていった感じです。

価値あるものを増やしていく

1番の目標はお店で星を取れるように、長く第一線で活動していくことです。料理の仕事はこれからも続けたいと思いますが、僕は食べてくれるお客様がいて初めて成り立つのが料理の仕事だと思っています。その時の自分のクリエイションを食べて欲しいからレストランを出すんです。また、ヴィーガン・ベジタリアンも価値のあることなので続けていきたいですが、一つのレストランで行うには規模が小さいですよね。だって席数・時間に限りがあるので。”週1回だけヴィーガンとかフレキシタリアン※1”を日本にもっと増やしていきたいです。実際、ヴィーガンの人は増えてきて広めたいはずなので、食べて美味しいと思われるようなお店を増やしていきたいです。日本の現状はまだ、ヴィーガン=制限という認識の人が多いように感じるので、ご褒美として野菜を食べにいくレストランを作っていきたいですね。そのためにメニュー監修したり、自分の名前のついたお店より、プラントベース※2に興味を持った企業と協力したり、家庭でも調理しやすい食品の開発をして、広くお客様に届けばいいなと思っています。

※1:フレキシタリアン=基本的に植物性食品を中心に食べるが、ときには肉・魚も食べるという柔軟なベジタリアンスタイルを取る人のことを一般的に指します。 「セミ・ベジタリアン」とも呼ばれます。
※2:プラントベース=英語で“植物”を意味する「plant」と“由来”を意味する「base」から成る言葉。日本では植物由来の食事法としても使用されます。